行政書士が相続業務を扱うことの意味

1 なぜ相続手続きを士業にお願いする必要があるのか

 相続に係る各種手続きを相続人自身で全て行うことができるのであれば、行政書士などの士業にわざわざ業務を依頼する必要はありません。相続人や相続する財産が多い又は不明な場合など、決められた期限までに(3カ月以内に相続するかどうかを決定。10カ月以内に相続税を申告・納税)、相続人自身で相続手続きを進めていくことが難しいため、自分たちでできない部分を各士業にお願いすることで相続業務が存在しているのだと思います。
 そして、士業の法定独占業務(資格を持たない者が業として行うことを法律において制限されている業務)という視点から、紛争性があれば弁護士、登記申請は司法書士、税務申告は税理士がそれぞれ担当することとなり、行政書士は、相続関係説明図財産目録遺産分割協議書などの作成を担当することとなります。

2 誰に頼めば良いのか

 上記のとおり、行政書士の他にも弁護士・司法書士・税理士なども相続業務を扱っています。相続人に争いがあって遺産分割協議が整わない場合は弁護士、相続税の申告・納税がある場合は税理士、相続した不動産の登記がある場合は司法書士、そういったものは無いものの相続人の関係が複雑で相続人を特定することが難しい場合には行政書士に頼むというのが依頼者が士業を選ぶ理由だと思います。
 ただし、これは、相続人がどのように相続手続きを進めていけば良いのかを知っている場合のことです。「家族が亡くなったけど、どのように相続の手続きを進めていけば良いのか分からない」「自分たちだけでは各種手続きを進めていくことは時間的に難しい」という方々は大勢居るのではないかと思います。そういった人たちの立場で考えると、相続手続きの「始まり」から「終わり」までワンストップで相談できる人が存在していた方が良いのではないでしょうか。

3 相談手続きの元請けとしての行政書士

 相続手続きを知らない、相続手続きをやっている時間がない、そのような方々の身近な相談者として、行政書士は「相続手続きの元請け」として最も適した士業の一つになり得ると考えています(行政書士に限るということではありません)。
 一般的な相続業務の流れでは、最初に依頼者(相続人)と面談をして手戻りが無いように丁寧に実施することが大切)、必要な項目(遺言書の有無、被相続人と相続人の関係、財産の内容、遺産分割の方針、相続人中の未成年者・制限行為能力者の有無など)を聞き取り、今後の相続手続きの内容や方向性を決めることとなりますが、その際、行政書士は元請けとして、依頼者に対して相続手続きの流れ(段取りとスケジュール)を説明した上で、紛争や登記申請、税務申告等が必要な場合には、弁護士、司法書士及び税理士等と連携して業務を適切に割り振ることで、相続手続きがスムースに流れるようにマネジメントできれば、依頼者も信頼・安心して相続手続きを任せることができるのではないか考えています。

4 依頼者の課題を整理・アドバイスすること

 被相続人が亡くなった後の相続手続きについては上記のとおりですが、依頼者にはそれぞれ相続後の課題(悩み)もあると思います。そういった不安もお聞きした上で、問いの力」を活用することで、課題を整理し、解決の方向性をアドバイスするということも依頼者にとって非常に大切なことであり、そういったところまでフォローする必要があると考えています。

 相続に関して疑問点等がございましたら、お気軽に当事務所にお問い合わせください。

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