1 罹災証明書※とは
罹災証明書は、役所(役場)に申請すると、被害を受けた住家(居住のために使っている建物)を調査した上で、住家の被害状況について発行してもらえる住家被害の証明書です。被害状況(被害の程度)は、全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、一部半壊の6種類に分かれます。「被害の程度」と「損害割合(損害基準判定)」の関係は下表のとおり。判定された「被害の程度」に基づき各種被災者支援が行われます。
被害の程度 | 全壊 | 大規模半壊 | 中規模半壊 | 半壊 | 準半壊 | 一部損壊 |
損害基準判定 | 50%以上 | 40%以上50%未満 | 30%以上40%未満 | 20%以上30%未満 | 10%以上20%未満 | 10%未満 |
多くの支援制度が、罹災証明書を必要とするので、罹災証明書の申請は、再建のための第一歩になります。重い判定(被害の程度)ほどたくさんの支援が受けやすいのが特徴です。最初の判定に疑義があれば、再調査や二次調査の申請も可能ですので、発行した自治体に相談してください。
※ 被災証明書(罹災届出証明書など役場によって名称が異なるので役場に要確認)
住家以外の建物(納屋、空き家、店舗など)に被害が生じた場合は、罹災証明書発行と同様の手続きを経て、罹災証明書に準じた被災証明書が交付されます。
2 罹災証明書の発行までの流れ
⑴申請の受付(電子申請サービスが可能な役場もあり)
以下の書類を準備して、役場に申請する。
①罹災証明書交付申請書(様式は、石川県行政書士会のリンクより石川県内の各自治体のHPを参照)
②本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、保険証など)
③罹災したことが確認できる写真(役場により異なるので要確認)
片付けや修理の前に、家の被害状況を写真に撮って保存する必要があります。詳しい写真の撮り方は、以下のURL「住まいが被害を受けたとき、最初にすること(内閣府・石川県)」を参照してください。
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/saigai/documents/202401sumai-saisyo.jpg
⑵被害認定調査
一般には、以下のとおり、役場の職員が現地により調査(被害認定調査)を行いますが、馳石川県知事が、第13回災害対策本部員会議(令和6年1月6日)において、『被災者の方々の生活再建を支援する「被災者生活再建支援制度」については、本来であれば、住家の被害認定調査を経たうえで、被害世帯数が基準を満たすことが確定した時点で適用することとなっているが、本日、国において、被害認定調査を待たずに、特例的に制度の適用を認めることとした。』と発言していることから、大きな被害を受けた地域については、以下の過去の事例(補足1)のように、被害認定調査を経ずに、罹災証明書が発行されるのではないかと思われます(各役場に確認してください)
①申請に基づき、役場の職員が現地にて調査を実施
②1次調査:外観から判定できるものについて、役場の職員が現地で確認し判定
③2次調査:外観での判定が難しい場合には、建物内部の調査を実施
(補足1)罹災証明書の交付の迅速化
建物の周辺の被害状況によっては、申請しても直ぐに現地調査ができない場合があり、その場合、被害の判定に時間がかかる。
平成28年の熊本地震における教訓から、北海道胆振東部地震(平成30年)や大阪北部地震と台風21号(平成30年)などで、罹災証明書の交付の迅速化として、住家の被害認定調査の効率化・迅速化(航空写真や被災者の撮影した写真を用いて被害認定を実施)が図られています。
事例:罹災証明書の交付の迅速化により、被災者の生活再建を後押し(内閣府HP)
(補足2)自己判定方式による罹災証明書の交付
家屋の被害の程度が明らかに軽微であり、申請者が「準半壊に至らない(一部損壊)」という被害の程度に同意できる場合は、自己判定方式(写真による判定)を行うことが可能。
自己判定方式では、実地調査を行わないので、短期間で罹災証明書の交付が可能。
一部損壊の事例は、外壁の一部ひび割れ、瓦等の屋根の一部落下、基礎の一部ひび割れ、床下浸水(フローリングや畳が浸水していない)などです。
⑶罹災証明書発行
証明書を受け取った後、判定結果に納得がいかない場合は、罹災証明書の交付を受けた日から、原則、6カ月以内に、2次調査、再調査を依頼できます。
なお、再調査等により、被害の程度が変更になった場合には、それより前に交付された証明書は、その効力を失います。
罹災証明書の発行に関して疑問点等がございましたら、お気軽に当事務所にお問い合わせください。
「行政書士内藤正雄事務所」