1 中小企業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」の概要
令和6年能登半島地震の災害おいては、石川県内の多くの中小企業者が、生産設備や販売拠点の流出・損壊や、顧客や販路の喪失という状況に直面している。
こうした中小事業者の事業再建を支援するため、本補助金事業を実施し、商工会・商工会議所の助言も受けながら災害から事業の再建に向けた計画を事業者自ら作成し、作成した計画に基づいて事業再建の取組に要する経費の一部を補助するものです。
項 目 | 詳 細 |
補助金額(上限) | 直接被害:200万円 ⇒自社の事業用資産に損壊等の直接的な被害があった事業者 間接被害:100万円 ⇒間接的(売上減少)な被害があった事業者 |
補 助 率 | 2分の1 定額(一定の要件を満たす事業者のみ対象※1) |
対象者要件 | 石川県内に本社又は主たる事業者を有する、令和6年能登半島地震の被害を受けた中小事業者(小規模事業者を除く)であること |
補助事業計画 策定要件 | 本事業への応募の前提として、早期の事業再建に向けた計画を策定していること ※ 補助事業計画の内容を審査し、採否を決定 |
補助対象経費 | ・使用目的が本事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費 ・補助対象期間中に発注等を開始し、納品及び支払いまで全てを完了した経費※2 ・振込受領書などの証拠書類等によって支払金額が確認できる経費 ①機械装置等費※3、②広報費、③ウェブサイト関連費、④展示会等出展費、⑤旅費、⑥新商品開発費、⑦資料購入費、⑧借料、⑨設備処分費、⑩委託・外注費※4、⑪車両購入費※5 |
スケジュール | 2次公募開始:令和6年4月26日(金) 申請受付期間:令和6年4月26日(金)~6月10日(月)17時必着 対象期間:最長で令和7年1月31日(金)まで |
※1 過去5年以内に災害救助法の適用を受けた災害で被害を受けた事業者で要件を満たす場合 ※2 特例として、令和6年1月1日の能登半島地震により被災した日以降に補助事業を実施し、発生した経費を遡って補助対象経費と認められます。 ※3 小規模事業者持続化補助金〈一般型〉では認められていない、事務用の机・椅子・ロッカー等、事業計画に基づく事業用途の汎用機器(パソコン・タブレットPC及び周辺機器(ハードディスク・LAN・Wi-Fi・サーバー等)、自転車等)も対象となります。 ※4 事業再建に資する取組と位置付けられる被災店舗等の解体工事・修理修繕作業も対象 ※5 小規模事業者持続化補助金〈一般型〉では認められていない、事業の遂行に不可欠な車両購入費も対象 |
2 中小企業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」の留意事項
留意事項は以下のとおり。詳しくは、参考ブログ「補助金とは? 補助金に関する基礎知識」をご参照ください。
⑴よくある誤解
給付金ではありませんので、審査があり、不採択になる場合があります。また、「後払い」が原則であり、採択決定後に直ぐに支払われるわけではありません(自己資金が必要)。
⑵補助事業計画書は、最寄りの商工会・商工会議所の事前確認を受けることが必要
補助事業計画書の策定に当たっては、本社又は、主たる事業場を管轄する商工会又は商工会議所に相談し、確認を受ける必要があります。必ず、申請前に商工会・商工会議所の相談を受けてください。
商工会・商工会議所の相談・確認には日数を要するため、余裕をもって相談してください。
3 補助対象者
本補助金の補助対象者は、以下の⑴及び⑵の要件を両方満たす事業者です。
⑴石川県に本社又は主たる事業場を有する、令和6年能登半島地震の被害を受けた中小事業者であること
【被害を受けた証明】
被害を受けたことを証明するためには、それを証する公的証明の添付(コピーでも可)が必要です。
①自社の事業用資産に損壊等の直接的な被害を受けた場合
「罹災(被災)証明書」など事業所等が罹災したことが分かる公的書類
なお、在庫や棚卸資産の損害は「事業用資産の損壊等」ではありません。
②令和6年能登半島地震に起因して、売上減少の間接的な被害を受けた場合
令和6年1月及び2月の任意の1カ月の売上高が前年同期と比較して20%以上減少していることが分かる地方自治体が独自に発行した証明書
【中小企業者であること】
次のア又はイのいずれかに該当する者であり、小規模事業者※は補助対象外です。小規模事業者に該当する場合は、小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)を活用してください。
ア 中小企業基本法に定める中小企業者
業種 | 常時使用する従業員の数 |
製 造 業 その他の業種 | 資本金の額若しくは出資の総額が3億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人 |
卸 売 業 | 資本金の額若しくは出資の総額が1億円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
小 売 業 | 資本金の額若しくは出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人 |
サービス業 | 資本金の額若しくは出資の総額が5千万円以下の会社又は 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人 |
イ その他の中小企業(組合関係)
⑵本事業の応募の前提として、早期の事業再建に向けた計画を策定していること
「計画」は、事前に商工会議所・商工会の確認を受ける必要があります。
4 事前準備から事業終了までの流れ
⑴事前準備
補助事業計画の策定
商工会・商工会議所への補助事業計画の相談
申請書(添付資料を含む)の作成
⑵公募開始から交付候補者決定
申請受付開始 令和6年4月26日(金)
申請受付締切 令和6年6月10日(月)17時必着
事業計画審査
採択者決定
⑶交付決定から補助事業実施
交付申請・決定
補助事業開始
補助事業実施(最長で令和7年1月31日まで)
実績報告作成・提出
確定検査
補助額の確定
補助金の申請
補助金の支払い
5 成果に繋がる事業計画の作成
審査において、3⑴及び⑵の要件を満たさない場合は、失格となります。また、計画について、以下の項目に基づき加点審査を行い、総合的な評価の高いものから順に採択されます。
①事業再建に向けた取組として適切な取組であるか
②令和6年能登半島地震による被害の程度
③その他、自社分析の妥当性や計画の有効性、積算の透明・適正性
事業計画の作成は、一番大切なところであり、自社の問題(現状と目標のギャップ)を正確に定義した上で、問題を解決できるように(成果が出るように)事業計画を立てることが重要です。(参考ブログ:「問いの力」とは?)
補助金は目標を達成するための手段であって、目的ではありません。補助金は無事採択され、計画通りに進捗しているけど、期待した成果(利益増)には繋がっていないということでは意味がありません。また、本補助事業の趣旨は、被災小規模事業者が被災からの事業の再建に向けた計画を自ら作成し、計画に基づいて行う事業再建に向けた取組を支援するものです。したがって、外部のアドバイスを受けるとしても、自らの意思を計画に反映するプロセスが重要です。事業計画の作成といっても色々なやり方がありますが、以下の手順でファシリテートすることで、事業者の意思を計画に落とし込むことが可能となります。
1 目標(ザ・ゴール)を明確にする
2 目標を達成するための解決策を考える
3 解決策を実施するに当たっての懸念事項を洗い出し、解決策をブラッシュアップする
4 解決策を実行した場合の障害を明確にし、障害を取り除く方法を考える
5 4を時系列に並べ、計画を作成する
「中小企業者持続化補助金「災害支援枠(令和6年能登半島地震)」に関して疑問点等がございましたら、お気軽に当事務所にご相談ください。
「行政書士内藤正雄事務