補助金とは? ー補助金に関する基礎知識ー

 補助金をもらいたいけど、そもそも補助金って何?と思っている方、補助金に関する基礎知識を以下にまとめました。

1 補助金に対する経営者の「誤解」

 補助金を活用しようと思っている経営者の中には、次のような誤解を補助金に対して持っていることがあります。まずはその誤解を無くしましょう!
【誤解その1】補助金は書類を出しさえすれば、案外すんなりともらえる
 補助金は厳密な審査があり、不採択となる場合もあります。
【誤解その2】会社の資金不足を解消するために、補助金を利用したい
 補助金は「後払い」が原則であり、採択決定後すぐに支払われるわけではありません。

2 補助金に対する「先入観」

 「お金のことなら税理士に相談する」ことが一般的だからといって、必ずしも「補助金=税理士の分野」とは限りません。補助金の認定支援機関(認定経営革新等支援機関)になっている税理士の方もいますが、税理士はあくまでも「税務のプロ」であり、「財務のプロ」ではありません。節税(税務)と資金調達(財務)は全く異なるものです。

3 「補助金」と「融資」の違い

 補助金は返済不要ですが、融資は返済が必要です。この点、申請者は「返済不要」の補助金の方にどうしても注目してしまいますが、補助金は「後払い」が原則であり、補助事業の実施には申請者の自己資金が必要です。自己資金が無い場合、補助金の申請をするよりも融資の申請をした方が良いこともあるので、注意が必要です。

4 「補助金」と「助成金」の違い

 よく「補助金」と誤解されるものに「助成金」というものがあります。「補助金」と「助成金」の違いは下表のとおりですが、行政書士が業務として携わることができるのは「補助金」であり、「助成金」は社会保険労務士の仕事であり、行政書士は業務として取り扱うことができません。
 ただし、東京都が募集している補助金の多くは「助成金」という名称であるなど、実際には「補助金」の内容と同一のものがあります。この場合、行政書士も業務を取り扱うことができます。

表 補助金と助成金の違い

補 助 金助 成 金
管轄官庁主に経済産業省主に厚生労働省
財  源税  金雇用保険
審査について厳密な審査あり要件さえ満たせばほぼ大丈夫
具 体 例小規模事業者持続化補助金
ものづくり補助金
IT導入補助金
事業再構築補助金
キャリアアップ助成金
雇用調整助成金
士業の関わり行政書士
社会保険労務士
税理士
中小企業診断士
など
社会保険労務士

5 補助金全般に共通するルール

 多くの補助金の共通するルールは以下のとおりです。

ルール1:補助金には審査がある

 補助金は、申請の際に提出した経営計画書事業計画書などが審査され、よりよい計画のものから採択されます。そのため、要件さえ満たせばほぼ採択される「助成金」とは異なります。

ルール2:補助金は「後払い」が大原則

 一部の例外を除いて、補助金は採択決定後に直ぐに支払われるわけではありません。まずは申請者の自己資金で補助事業を実施し、補助事業完了後に実績報告書などの証拠書類等を提出し、それらが精査された後、補助金の額が確定し、「精算払請求」などの手続きを経て、ようやく補助金が支払われます。つまり、補助金の申請をする前にすでに自己資金が不足している場合には、そもそも補助金に応募すること自体ができなくなってしまいます

ルール3:すでに使ったお金に対する補助金はない

 一部の例外を除いて、補助金は「これから行う事業」に対して支払われるものです。多くの場合、補助金交付決定までに既に支払った経費をさかのぼって計上することはできません

ルール4:補助対象経費は限定されている

 どんな経費にも補助金が出るわけではなく、補助金の趣旨・内容によって補助対象経費は限定されています。例えば、従業員の人件費が補助対象となるものとならないものがあったり、ホームページの制作も補助対象となるものとならないものがあったりします。さらに、「汎用性の高いもの(パソコン・タブレット・プリンター本体の購入、文房具などの事務用品の購入など)は補助対象となることはほとんどありません。この点、公表されている公募要領でよく確認する必要があります。

ルール5:「採択されたらそれで終わり」ではない

 補助金は、「採択されたらそれで終わり」ではありません。むしろ、採択決定後の事務作業の方が煩雑であることが多いです。苦労して採択されたのですから、煩雑な手続きに直面しても実績報告を諦めないようにしてください。
 採択決定後に補助事業者がやるべきことは、以下のとおりです。
・補助事業の実施(申請時の補助事業計画通り、実施期限までに完了させる)
見積書や発注書、請求書、領収書など証拠資料の収集(実績報告書の添付資料として提出)
実績報告書の作成及び提出
・精算払請求書の作成及び提出
・関係書類の保存義務(5年間であることが多い)
・補助事業終了後の定期的な状況報告

 補助金に関して疑問点等がございましたら、、お気軽に当事務所にお問い合わせください。

行政書士内藤正雄事務所